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花組 都姫 ここ

花組トップスター明日海りおの退団公演となる宝塚大劇場公演は、19世紀半ばのロンドンを舞台に描く耽美的で幻想的なオリジナルミュージカル『A Fairy Tale ―青い薔薇の精―』と、花と光の都パリの地下都市で繰り広げられるレヴュー『シャルム!』の2作品を、9月30日まで上演中。 「誰からも愛される娘役をめざす」とキラキラの笑顔をみせる第104期生の都姫ここ、抜擢を受け新人公演初ヒロインに挑戦!

新人公演で、青い薔薇の精を愛す 心美しいヒロイン・シャーロットを

 圧倒的な美しさで咲き誇る花組トップスター明日海りおの退団公演、三井住友VISAカードシアター Musical『A Fairy Tale ―青い薔薇の精―』とレヴューロマン『シャルム!』が9月30日、宝塚大劇場で千秋楽を迎えた後、いよいよラストの東京宝塚劇場公演が10月18日から始まる。
 話題に満ちたオリジナル・ミュージカル『A Fairy Tale ―青い薔薇の精―』の新人公演でヒロインのシャーロット役に挑んでいるのが、2018年に初舞台を踏んだばかりの第104期生、都姫ここさんである。同期生の中でも初の快挙であり、劇団内外から熱い期待が集まっている。初々しさいっぱいの都姫ここさんは、絵から抜け出たような愛らしい笑顔を向けて、
「新人公演でヒロインのシャーロット役をさせていただくことをお聞きした時は、ただただびっくりして不安でいっぱいになりましたが、本役の華優希さんが、何かあればいつでも相談にのるからと、とても温かい言葉をかけてくださったおかげで、心を落ち着かせることができました」
 都姫ここさんが新人公演で演じるヒロインのシャーロット・ウィールドンは英国上流階級の出身で、田園をこよなく愛し、豊かな想像力と自由な心をもつ女性だ。
「芯が強く、自分の意志を持っている人です。私の印象では映画“アラジン”のヒロインのジャスミンに似ているように思うのですが、どうしたら強い女性の人生を私自身の中で消化して演じられるのか、どうしたら幅広い年齢層を演じ分けられるのかなど、試行錯誤しながらお稽古しています」
 幼い頃にミュージカルを観て以来、毎日のように歌ったり踊ったりしていたという都姫ここさん。「生活の中に自然とミュージカルがある環境で育ちました。母がダンススクールやボイストレーニングにも通わせてくれました」
 やがてミュージカル系のコースがある学校に進学した都姫ここさんは、授業で初めて宝塚歌劇を観た。「初観劇した時は宝塚が雲の上の存在に思え、目指そうという決意には至らなかったのですが、その後DVDを借りて見ているうちに、私も同じ舞台に立ちたいという思いが強くなりました」
 二次試験に合格できたらいいんじゃないの、という母の優しい言葉に支えられて、見事、合格。「一瞬にして生活が180度、急展開しました。宝塚のことをよく知らないまま受験し、寮生活を始めたので、わからないことが多く混乱することもありましたが、上級生の方々が親身になって教えてくださり、娘役として大事なことだけでなく、一般社会でも一人の女性として大切なことを学ぶことができて、少し成長出来たように思います」
 入団2年目の都姫ここさんにとって、初舞台の思い出はフレッシュ。「宝塚歌劇団ってどんなところかなという興味いっぱいの頃でしたから、お稽古のために劇団に来るだけで胸がときめきました。初舞台ロケットのお稽古は大変でしたが、同期でなければ支え合えなかったと思うことがたくさんあり、幕が上がった瞬間に感動で鳥肌が立ちました。研2になり、時の早さを実感しています。舞台に立つために必要なことは下級生時代にできるだけ身につけておくべきだと思いますので、1日1日を大切にして、お客様に愛される娘役になれるよう、しっかり学ばせていただきたいです」
 都姫ここさんにとって1番のライバルは、「自分自身です。私自身に負けないこと。周りの方に支えてもらうだけではなくて、私も支えになれるよう、自立した強さを持ちたいと思っています」
 そんな都姫ここさんの最大の魅力は、誰もが認める、明るさ!
 自ら発する光の純度が、可能性を拓く。小さな手ごたえを握りしめた都姫ここさんの挑戦が続く。

都姫 ここさん

2018年『Killer Rouge』で初舞台、その後花組に配属。19年『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』で新人公演初ヒロイン。
出身/岡山県  愛称・ことか、こつ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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