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月組 結愛 かれん

真夏の月組公演は、世界の古典・デュマの「三銃士」をもとに新たな発想で描くロマンチック・アクション・ミュージカル『All for One』~ダルタニアンと太陽王~を、8月14日まで宝塚大劇場で、9月1日から10月8日まで東京宝塚劇場で上演する。 「踊ることが大好きです」とキュートな笑顔で話す結愛かれんが、新人公演初ヒロイン、バレエ好きのルイ14世に挑戦。

娘役が演じるルイ14世。 101期生で初の新人公演ヒロインを射止めた

 真夏の暑さを忘れさせてくれる月組公演『All for One』~ダルタニアンと太陽王~が宝塚大劇場で千秋楽を迎えると、東京宝塚劇場公演が9月1日からスタートする。

 この浪漫活劇のヒロインは太陽王・ルイ14世。本来なら男役が演じるはずだが、トップ娘役が演じているところに、このアクション・ロマネスクの脚本・演出の小池修一郎氏による快活かつ巧妙なトリックがある。その新人公演でルイ14世役を射止めたのが、2015年に初舞台を踏んだ第101期生の結愛かれんさんだ。新人公演初ヒロイン役を受け、輝くばかりの美しさである。

 「お話をうかがった時は驚きました。ルイ14世は何度も宝塚の舞台に登場していますが、男役さんが演じていらっしゃった役なので、娘役の私にできるかなと。けれども、役をいただいたからにはお客様に喜んでいただけるような舞台にしなければ、とにかくがんばろうと思いました」

 本役のルイ14世を演じているのは、男役から娘役に転向しトップ娘役経験も豊かな愛希れいかだ。
「愛希れいかさんからは、今回の役は特殊だから、かれんらしくやればいいのよと言っていただきました。愛希さんが役を創り上げていかれる姿を見て、しっかり勉強したいと思います」

 3歳からクラシックバレエのレッスンを始めた結愛かれんさんは、中学生になるとさまざまなジャンルのダンスにも興味を抱き、心の中の思いを身体で表現する楽しさに夢中になっていった。

 「踊ることが大好きです。ルイ14世役は黄金の眩い大きな被り物と豪華なお衣裳をつけて踊るため、遠心力の影響を受けないように体の軸をしっかり立てて、ダンスもお衣裳も美しく見えるように、もっともっとレッスンしなければと思っています」

 宝塚音楽学校を受けてみたら、と母親の友人に勧められ、『エリザベート』のDVDで初めて宝塚歌劇に触れた。「トートの闇とエリザベートの輝き。こんなにキラキラした世界を観るのは生まれて初めてでした。ここに入りたい!と、直感で受験を決意しました」

 宝塚音楽学校時代の最も印象深い思い出は文化祭。「文化祭では同期全員で同じ舞台に立つことが出来ます。卒業すると憧れの初舞台が待っている…みんなの思いは一つ!という、感動と感激の只中で、まさに無我夢中の毎日でした」

 初舞台の演目は小池修一郎氏の潤色・演出によるフレンチ・ロック・ミュージカル『1789―バスティーユの恋人たち―』。月組公演だった。その後すぐに、結愛かれんさんは月組に配属され、東京宝塚劇場公演『1789』にも出演。2年後、『グランドホテル』新人公演のフラムシェン役に大抜擢された。

 「フラムシェンは複数の主要人物と関わることのできる役で、舞台経験の浅い私には苦労もありましたが、とても沢山のことを勉強させていただくことができました」

 結愛かれんさんの今後の目標は?「舞台に立つことがすごく好きなので、どんな人物を演じても、宝塚の娘役であるという意識を大切に、役の人物として息づけるようになりたいです。かわいらしくて、しっかりした娘役になるのが夢です」

 ハッピーエンドの舞台で見せてくれる結愛かれんさんの、とびきりの笑顔は、もちろん、どんな花よりかぐわしい。

結愛 かれんさん

2015年『1789』で初舞台、月組に配属。17年『グランドホテル』新人公演でフラムシェン役に抜擢。同年『All for One』新人公演で初ヒロイン。
出身/愛知県  愛称・かれん、ユイ、ゆーゆ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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