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チャリティ企画 現代国際絵画展 同時開催 ソラ・プッチ画伯招待展

チャリティ企画 現代国際絵画展 同時開催 ソラ・プッチ画伯招待展

ワークショップで絵を自由に描く大切さを実感

先日、リニューアルされたアピアホール(阪急逆瀬川駅前)で開催されたチャリティ企画「現代国際絵画展」(主催 社会福祉法人希望の家、希望の家後援会)の前日にスペインの画家、ソラ・プッチ氏を迎え行われたワークショップを見学させて頂いた。ワークショップに参加したのは、希望の家に通う発達障害者と身体障害者の皆さんだった。

因みに社会福祉法人希望の家は、昭和36年に宝塚市安倉の地に産声をあげた。以来、地域の福祉力を高める事業や地域で必要とする支援活動を展開し、地域社会への貢献活動に努めてきた。今回、こうした福祉事業の資金確保の一環として、チャリティ企画「現代国際絵画展」が「希望の家」の福祉事業のパネル展示や授産品の即売も併せて行われた。

さて、展覧会前日に持たれたワークショップは、私にとっては驚きの連続であった。一番感心したのは、左足しか自由にならないひとりの女性が、テーブルに用意された画用紙に水彩絵具で風景画に取り組んでいる姿であった。聞けば、絵をはじめて8年になるという。普段見た光景の記憶を頼りに、画版上の画用紙を左右に、あるいは上下に動かしながら筆を運んでいた。

なんというバランス感覚を有しているのだろう。色彩への感性もさることながら、天性の造形感覚の素晴らしさに舌を巻いた。また、あるテーブルでは、先ずつぼの輪かくを描いている青年がいた。つぼの胴部に左右へ何本もの筋を描く。そのつぼは、描く青年の独創的な造形絵画でもある。実際のつぼを見て描くのではなく、彼自身の頭の中でのつぼを創造していた。

このように芸術の素晴らしさは、眼前の対象物を描くことだけでなく、創造する造形を描画するのも芸術の特性である。如何に身体が不自由であったり情緒不安定であっても、造形頭脳は研ぎすまされている。眠っている感性は、描画するとともに覚醒されるのだろうか。こんなワークショップのシーンを見ていると、絵を思い思いに、自由に伸び伸びと描くことの大切さを改めて痛感させられた。

ワークショップの終わりに、スペインの画家、ソラ・プッチ氏は「画家として、社会奉仕することは大事なことだと考えている」と私に話してくれた言葉が強く印象に残った。


◆たのしい絵本の美術館「こどものとも」絵本原画展
7/5(土)〜8/17(日)
入館料 一般700円 大高生350円    中小生100円
「こどものとも」の初期の名作から最新作まで、今もなおロングセラーを続けている作品を中心に16作品を選定し、その表現の魅力を探ろうというもの。絵本の全場面の原画が並べられ、美術館が丸ごと絵本に様変わり。幼いお子様からご老人まで、会場で絵本をお互いに読み合って、絵本の楽しさを満喫できる内容。
◇ワークショップ「ポップアップ絵本をつくろう!」
7/13(日)PM1:30〜
講師スズキコージ(本展出品作家)申込み/往復はがきに住所、氏名、連絡先、年齢を明記の上、美術館「ワークショップ係」まで郵送
◇講演会“「こどものとも」の魅力(仮称)”7/27(日)PM2:00〜
◇絵本の読み聞かせ(会期中に4回予定)
●AM10:00〜PM6:00(入館は30分前まで)月曜休館(但し、祝日は開館、翌日休館)
http://www.artmuseum-itami.jp

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