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-バックナンバー- 2005年3月号
月組 宝塚歌劇団 エリザベート
月組 月船さらら エリザベート


「エルマー・バチャニーを演じることは、今の自分の課題と向き合うこと。すごく勉強になるし、楽しいです」

そう話す月船さららさんは、3月21日まで月組宝塚大劇場公演『エリザベート』―愛と死の輪舞―に出演中だ。

1996年の宝塚歌劇団雪組による日本初演以来、星組、宙組、花組で上演されてきたウィーン生まれのミュージカル『エリザベート』―愛と死の輪舞―は、すでに総公演数458回、観客動員数113万人を記録している。この壮大な物語に登場するのは、黄泉の帝王トート、オーストリア・ハンガリー帝国皇后エリザベート、同皇帝フランツ・ヨーゼフ、エリザベートを暗殺したルイジ・ルキーニ、皇太子ルドルフなど、魅力ある個性的な人物。

その中で研10の月船さららさんが演じるエルマーは、年月をかけて粘り強く独立運動を推し進めていくハンガリーの革命家である。「ハンガリーの歴史を背負い、バチャニー家の伝統と誇りを受け継ぐエルマーは、勢いだけでは演じ切れません。力強さ、存在感を伝えるために気持ちをお腹で感じていなければ」

月船さららさんが初舞台を踏んだのは『エリザベート』の日本初演と同じ96年。その年、月組に配属された月船さららさんは2年後、5組化に伴って移籍した宙組で『エリザベート』に初出演し、新人公演でルドルフ少年を演じた。今回は2度目だ。
「同じ脚本も、違う役を通して読むと新たに気づくことがたくさんありますね。いい作品から得られる情報は限りがないと思いました」

活き活きした男役らしさを持って生まれた、清々しい月船さららさんだが、そもそもはミュージカルがやりたくて宝塚をめざしたという。

「『サウンド・オブ・ミュージック』をテレビで見て、ミュージカルのビデオを集めるようになりました。宝塚歌劇もビデオでしか見ていなかったのですが、繰り返して見るほど好きだったのが『ベルサイユのばら』。女性でありながら男として育てられたオスカルは、お芝居をする上でおもしろいだろうなと。老若男女を問わず、人間の感情を演じることにすごく興味があって、入団後も男役であることを自覚したのは遅かったです。でも、そのかわり表現することへのためらいは最初からありませんでした。研6の時に、『ベルサイユのばら2001』のフェルゼン役で新人公演初主演をさせていただいてから、異性を演じることにどんどん魅力を感じるようになり、今では女役が回ってくると恥ずかしくてたまりません(笑)。突っ張ったり背伸びをした時期もありましたが、学年も上がった今は気持ちと形のバランスが少しはよくなってきたのではないかと。たとえば上半身だけで表現していたものも、お腹に溜めて演じられるようになってきたとか。そんな今エルマー役と出会ったので、すごく幸せです」

 

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