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-バックナンバー- 2003年7月号

 もちろん音楽学校以来、ずっと一生懸命にやってきたことにかわりはないのだけれど、そのディナーショーを節目に瀬奈じゅんさんの姿勢が揺るぎないものになった。当然、花組の中でも責任ある立場になってくる。トップの休演という非常事態を春野寿美礼と共に乗り切った経験も大きいはずだ。
「下級生も含めてみんな、それぞれに責任があるので、私は自分が特別責任が重いとは思っていないんです。 花組のためにできることがあれば何でもします、という気持ちはありますが、一人一人みんなが大事な人材です。例えば上級生が下級生を引っ張っていくのは、上級生みんながしていることで、私だけがクローズアップされてしまうのは寂しいです」
 いわゆるトップスターには孤独がつきものだ。それは舞台に限らず、トップと名のつく人の宿命である。トップほどでなくてもセカンドの立場だって孤独感から逃れられない。一人で担わねばならない責任が多いのだから。
 「もう1つの節目は『エリザベート』のルキーニ役です。ルキーニは進行役で周りの空気を動かす人。自分の壁にぶち当たり、すごく悩んで精神的にもしんどかったし、できない自分が悔しかった。でも東京公演を終えると、舞台の上に一人で自然に立てている自分がいたんです。何かに立ち向かう強さをもらった役ですね。今回の舞台では下級生がみんな、初めての立ち回りをがんばっています。大立ち回りが2場面もあり、自主稽古をして上達したのを見て感動しました。ぜひ、観てください」
 『野風の笛』のラスト、寡黙な宗矩が初めて感情を滲ませる重要な場面がある。もちろん瀬奈じゅんさんの最大の見せ場だ。

 

 

 

 

インタビュアー
 名取千里(なとり ちさと)

  (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局
  /宝塚NPOセンター理事
  主な編著書
  「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)
  「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)
  「仕事も!結婚も!」(恒友出版)

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