宝塚の情報誌ウィズたからづか

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おもしろく読みながら中国悠久の歴史の舞台裏を見る
歴史華やぐ女たち 「中国美女列伝」
泉 和幸

歴史や人物を経営の視点から考察し、テレビや講演会でも人気の経済評論家・泉和幸さんが、大阪北新地新聞に連載していた記事「あのねのネ」を一冊にまとめて出版。西施、王昭君、則天武后、万貴妃など中国の歴史を彩る女性たち51人の物語は、現世でくりひろげられているドラマとどこか二重写しとなっているのではと好評。

プロフィール・泉和幸・いずみかずゆき
昭和5年、東京生まれ。昭和28年、広島大学哲学科を卒業、産経新聞大阪本社に入社。大阪新聞部、東京本社販売局企画開発部を経て、大阪新聞社編集企画担当部長に就任、昭和54年退社。昭和56年泉事務所を設立、経済評論家として活動を開始。昭和57年から異業種交流会「21の会」を発足させ、「中国古典塾」も併設。平成10年より後継者育成塾「ユース21」「一木会」を発足。NHK神戸文化サロン常任講師「おもしろ経済学」。西宮市在住。

宝塚市の最北部、西谷に彫刻家川合敏久、画家季子夫妻が喧噪の大阪を離れ5年前からアトリエを構えている、自然の懐に抱かれた西谷。四季の移ろいの中で起居し、自然を観照し、自己と対峙し創作活動を行う2人。

彫刻家川合敏久は、幼児期に祖父とよく魚釣りに出掛けたとか。その頃の体験が、後年の彫刻に活かされる。早くして父を亡くしたため、働きながら高校や大学に進学。そこで、働く人々の人情の機微にふれる。京都芸大の彫刻科では、人体デッサンに始まり、模刻などを経て、本格的に人体の造形表現に腐心する。なかでも、辻晋堂から多くの啓示を受ける。

大学を卒業後しばらくは、抽象彫刻を手掛けている。そして、具象彫刻に転進。頭部や人体作品に、人間の内面を表現するといった難度の高い道を選んだ川合。私は具象彫刻が、技術のみが優れているだけでなく、作家の姿勢が反映される難しい表現だと考えている。

さて川合は、京都時代に同志と、ともに結成したグループVOLに参加。そこで季子夫人と知り合い、結婚に至る。

季子は、敏久とは逆に具象画から、近年は抽象画にも挑戦している。具象も抽象も表現行為は異なるが、作家の内面が作品に代弁される。即ち、作家としての哲学が造形化されるといっても過言ではないだろう。

彫刻家川合は、真摯な姿勢の作家である。肖像彫刻では、綿密に人物像を調査し、人間性を追究している。肖像は、如何に人間性を集約し、造形化するのかが、逆に作家自身の姿勢を問われることでもある。

そんな律儀な敏久と長く生活をともにしてきた季子も二次元世界から三次元、四次元世界への拡がりを求めて画架と対峙している。季子も作品に、自身の内面を作品に具現化している。

今後の宝塚・西谷での不断の創作活動が、多くの人に共感を与える作品が呈示されることを期待したい。


「中国美女列伝」
発行日 2006年10月13日
著 者 泉  和幸
発行者河口貴賦
発行所 圓石本店
発売元 あさひ高速印刷株式会社出版部
印刷所 あさひ高速印刷株式会社
定 価 1、260円     
(本体1、200円+税)
四六判 224ページ 並製本