宝塚の情報誌ウィズたからづか

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元永定正・中辻悦子 絵本原画展 もーやんえっちゃんええほんのえ

2007年1月6日(土)〜3月11日(日) 伊丹市立美術館

伊丹市立美術館 宮ノ前 072(772)7447
◆「明治大阪の錦絵新聞」 〜12/17(日)  
◆「もーやん えっちゃん ええほんのえ」 元永定正+中辻悦子絵本原画展 2007.1/6(土)〜3/11(日)
一般700円 大学・高校生     350円 小中学生100円
●AM10:00〜PM6:00(入館は30分前まで)月曜休館(但し、 祝日は開館、 翌日休館)
http://www.artmuseum-itami.jp

現代美術アーティスト夫婦の絵本原画の世界

宝塚市在住の画家夫婦である元永定正氏と中辻悦子氏の2人は、日本の現代美術の世界で多方面に活躍され、国内外でも注目されています。2人は、現代美術の制作と、ともに30年近くにわたり抽象画による絵本制作にも意欲的に取り組んでいます。

例えば、「もけら もけら」(1990年)は、ジャズピアニスト・山下洋輔氏の言葉とモダンアートの旗手・元永氏の絵と美術家・中辻氏の構成といったコラボレーションにより出来上がった画期的なユニークな絵本ともいえます。山下氏の言葉がリズムとなり、元永氏の絵と、ともに自由に絵本の中を動きまわり、大人も子どもも思わず声を出して読んでしまうような不思議な体感を味わうことができます。

また、中辻氏の「よるのようちえん」(1998年)は、2人のニューヨーク時代からの友人である詩人・谷川俊太郎氏の言葉に、中辻氏の絵と写真で構成された作品が見事に融合し、夜の誰もいない幼稚園(モデルは伊丹市内の白ゆり幼稚園)を舞台に展開され、谷川氏の長男である賢作氏が作曲した楽譜もついている斬新な絵本です。殊に絵本に登場する多くのキャラクターの目の表情は、中辻氏独特の表現ともいえます。なお、この絵本は、第17回ブラティスヴァ世界絵本原画展(スロヴァキア)でグランプリを受賞しています。

今回の展覧会は、抽象絵画と独創的な言葉による誰も見たことのない絵本原画という切り口で、2人のこれまでの作品のなかから「楽しく」「明るく」「不思議な」といった絵本原画を陳列し、夢と楽しい会話が交わされる会場を企画しております。是非美術館で、2人の絵本原画の世界をご満喫ください。
(文 坂上義太郎 伊丹市立美術館学芸員)

◆1月7日(日) 午後2時より
ええはなし1「初笑!もーやん★えっちゃん揃い踏み」
ゲスト:元永定正・中辻悦子、聞き手:川辺雅美(西宮大谷記念美術館学芸課長)
◆1月28日(日) 午後1時30分より
パフォーマンス:もーやんの日「絵描き初め」
出演:元永定正
◆2月10日(土) 午後2時より
ええはなし2「ええほんで福は内」
ゲスト:谷川俊太郎(詩人)、横山真佐子(児童書専門店「こどもの広場」主宰)
◆3月3日(土) 午後1時30分より
ワークショップ:えっちゃんの日「えっちゃんと雛あそび」
講師:中辻悦子  定員20名、実費500円
応募方法:往復はがきにて事前予約(先着優先、詳しくは美術館まで)
いずれも要観覧券、美術館1階講座室にて(パフォーマンス等変更の可能性あり)

元永定正(もとながさだまさ)さん
1922年三重県生まれ。関西を拠点にする「具体美術」に属し、64年現代日本美術展で受賞したのをはじめ、各種国際展などで活躍。83年には日本芸術大賞、91年紫綬褒章、94年宝塚文化功労賞を受賞。名実共に日本を代表する抽象画家。

中辻悦子(なかつじえつこ)さん
1937年大阪府生まれ。阪神百貨店の広告デザイナーを経て63年東京で初個展以後、各地で個展を開く。人形のオブジェ、絵画、版画など多彩な分野で活躍し、98年現代版画コンクール展大賞、99年ブラティスヴァ世界絵本原画展グランプリ受賞。