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-バックナンバー- 2005年1月号

 「私たち生徒は幸せなことに、いつも次の舞台を用意して頂けます。舞台上で学ぶことは大きいです。もちろん、お稽古している内に身につけることもたくさんありますが、舞台に立つことで掴めることはとても多い。恵まれていると思います」
 
宙組の大和悠河さんにとって、宝塚歌劇が90周年を迎えた2004年は、1年を通して他組に特別出演した、新しいチャレンジの年だったといえる。
 
まず宝塚大劇場星組公演『1914/愛』『タカラヅカ絢爛けんらん』。その東京宝塚劇場公演後の、博多座星組公演『花舞う長安』『ロマンチカ宝塚'04』。博多座は昨年の宙組公演『鳳凰伝』『ザ・ショー・ストッパー』に続く2年連続の出演だった。博多座初演の今回は出演者全員と一から稽古ができた。そのために組が違っても一つのカンパニーとして創り上げていく楽しさを一層実感できたという。

大和悠河さんの星組への特別出演は、2003年5月の日生劇場公演『雨に唄えば』に始まる。これは大和さんが月組から宙組に移籍直後のことで、新人公演を卒業して2年目の、いわば男役・大和悠河の今後が問われる舞台だった。「宝塚は一つだなと思ったし、だからこそ自分をしっかりもっていないとダメだと分かった」と、当時の大和悠河さんは言っていた。それまでも新人公演の主役を6回、宝塚バウホール公演の主演を3回つとめた輝かしい実績があったが、『雨に唄えば』のコズモ役では、大和悠河さんの演技に人物の陰影がはっきりと加わった。

その年の秋、『白昼の稲妻』『テンプテーション!』で宙組生として大劇場デビューした大和悠河さんは、古着屋ローラン・サバティエ役で屈折した色気を醸し出し、観客をうならせた。レビューの1場面で女役を演じたのも、この時だった。ついに回ってきた、大和悠河さんの女役。あまりにチャーミングだったため、このまま女役が増えては困るというファンの声が高まったようだが、大和悠河さんからは、「たまに演じるから、楽しくできます」と、本来の男役の美学を追究していく意志を再確認できた。

 

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