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-バックナンバー- 2003年12月号
 

 秋の行楽シーズンには長尾山系の山歩きを楽しむハイカーの姿も見られる清荒神清澄寺。

 境内の鉄斎美術館にも多くの人が訪れています。「鉄斎 秋季展」では鉄斎の画に捺されている多様な印をテーマにした企画展が12月14日(日)まで開催され、印にもこだわりを持ち生涯に約500にも及ぶ印を使ったという鉄斎の印癖が80点の画と共に紹介されています。

 荒神さんへの早朝のお参りを続けているという42年の歴史を持つ月刊・神戸っ子の編集長、小泉美喜子さんと美術館を訪れ、印にみる鉄斎イズムに触れました。

会期 〜12月14日(日)
月曜日休館
但し11月24日開館 翌日休館
 
開館時間:午前10時〜午後4時30分(入館は4時まで)
入館料:一般300円、 高大生200円、 小中生100円
(老人、 身体障害者手帳提示の方は各々半額)
宝塚市米谷字清シ1 清荒神清澄寺山内 
TEL0797−84−9600

衰えることのない好奇心が、人を励ます作品を生んだ。

 荒神さんには朝早くお参りに来て、天堂、本堂、一願地蔵、お不動さんと順に参拝し、参道でたこ焼きや玉子焼を買ったり、とても好きな場所なんですが、鉄斎美術館を訪れるのは初めてです。

 鉄斎の印癖がテーマというユニークな展覧会で、画の解説と共に印影が実物大に見やすく展示されているのでデザインの面白さを楽しむことも出来ます。賛の始めや落款の下などにも印が捺されていて「鍾馗騎虎図」(前期の展示)に捺された「子孫千万」という印は一番大きく直径14センチもあってびっくりしました。これは漢の瓦を摸して作ったものだそうですが美術館の壁や天井の意匠に使われているんですね。79歳に描いたというこの画は老人パワーが漲っているとでもいうのか、虎にまたがる鍾馗さんが動かんばかりに描かれていて、すばらしい。

 鉄斎の画は人を励ます力を持っていますね。衰えることのない好奇心が老いてますます奔放でエネルギッシュな画を生み出したといえるのではないでしょうか。

 文人、池大雅・高芙蓉の刻した印が捺されている「三老登嶽図」(前期の展示)は志を同じくし、互いに尊敬する三人が、俗塵から離れて自然を愛でながら楽しげに富士登山する道中が描かれていますが、そこには自然との共存を理想とした東洋思想を感じることができます。鉄斎イズムの源流ですね。私も鉄斎のように気の合う仲間と女同士の「三婆○○図」が出来たらいいなと思いました。

 鉄斎美術館は全国でも珍しい存在ですからその特徴を生かした催しなどがあれば更に鉄斎への関心が高まるのではないかと思います。和上様が清荒神と鉄斎との関わりを話してくださる講演とか、アーティストを招いての文化講座のようなものがあればいいですね。

 震災後、神戸のトアロードを活性化するためクラフトアートフェアを開催していてもう7回を迎えましたが、アートには人を励ましてくれる力があることを感じています。


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