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-バックナンバー- 2003年12月号

 11月21日に初日を迎える月組宝塚大劇場公演『薔薇の封印』は、ミステリアスなヴァンパイア伝説をモチーフに描いたオリジナル一本立て大作だ。不老不死の命を得た主人公の数奇な運命が、時代を超える4話のオムニバス形式で綴られる。  

1話と4話が現代。その幕開きから華々しく登場する霧矢大夢さん。

「私が演じるクリフォードはミュージカルスターで、アンドリュー・ロイトウェーバーのミュージカル、「オペラ座の怪人」のオリジナルキャストであるマイケル・クロフォードをもじって、クリフォードと名乗っているのだそうです。その昔、ヴァンパイアの魂を鎮めたという薔薇の僧院を再建するためのチャリティイベントが、世界遺産認定を見込んで計画され、そのリハーサル会場にドラキュラ役で登場します。ドラキュラの扮装で歌って踊るわけではないのですが、幕開きから出させていただくので、お客様を物語の世界に一気にお誘いできるよう、がんばりたいと思います」

舞台はやがて、本物のヴァンパイアが現れて大騒ぎになり、ある日記の内容が明かされていく形で時が遡る。  2話は17世紀のパリ。霧矢大夢さんが演じるのは太陽王ルイ14世だ。クラシックバレエを発展させ、自らもバレエを踊ったルイ14世。クラシックバレエ畑の霧矢大夢さんが、尊敬する川崎悦子氏の振付で久しぶりにバレエを踊る。

「クラシックバレエは6歳からで、3日坊主の私が唯一続いたお稽古事でした。今回、大好きな川崎先生の振りで踊らせていただくので、すごく幸せです。実は時間があれば口ヒゲをつけられたらいいなと密かに考えていまして、クリフォードかルイ14世か、どちらがつけているかは幕が開いたときのお楽しみということにしてください」  

黒マントにオールバックのクリフォードが口ヒゲをつけると、ヴァンパイア俳優の雰囲気が出る。一方、宮廷の女たちの王様賛歌の大合唱を前座にゴージャスに登場するルイ14世は、気品、貫禄、風格を要求される大役。口ヒゲの生かし甲斐のある役ではある。

「『薔薇の封印』は、私が約半年間の休演後、初めての舞台で、復帰第1作になります。このように宝塚らしく華やかに登場させていただき、本当に幸せに思います」

 

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