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-バックナンバー- 2002年12月号
 
美しい秋の紅葉に包まれた清荒神。境内の大銀杏も黄に色づき参拝者の目を楽しませてくれています。
 鉄斎美術館では12月14日まで「鉄斎 秋季展」が開催され、鉄斎の山水、花鳥、仏画など83点の作品が2回に分けて展示されています。
 日本の掛け軸に惹かれ絹に墨と顔料で絵を描いているジュディス リッターさんと秋の美術館を訪ね文人・鉄斎が今に伝える日本の美と心を鑑賞しました。
会期 〜12月14日(土)
月曜日休館
ただし祝日の場合は翌日(火)休館
開館時間:午前10時〜午後4時30分(入館は4時まで)
入館料:一般300円、 高大生200円、 小中生100円
(老人、 身体障害者手帳提示の方は各々半額)
宝塚市米谷字清シ1 清荒神清澄寺山内 TEL0797−84−9600



日本の古い文化を
  日本人にもっと知ってほしい

  池田市に住むようになって4年、清荒神の参道の店や露店で、日本の古い物を見て歩くのが大好きです。古着屋で買った着物をリフォームし愛用しています。お寺までは何回か来たことがあるのですが、鉄斎美術館へは初めて伺いました。
 アメリカの大学ではアジアの宗教と美術の歴史を勉強し、中国の南画家に水墨と書を習い、韓国と日本の文化に興味を持っていましたが、92年に英語教師として来日、日本の美術館で初めて本物の文人画に出会いました。そして、絹に描かれた古い掛け軸に心を奪われ、私も絹に墨と顔料で自分のテーマを独自に表現するようになったのです。
 鉄斎の作品にも紙本と絹本とがありますが、絹は古くなると優しい色になってさらに絵全体の深みが増してくるので好きなんです。
 この展覧会は29歳の作品から年を追って展示されているので変化がよくわかりますね。若い頃の線は細くてシャープですが、晩年の作品は線に自信が溢れている。最後に展示してあった89歳の聖者舟遊図(写真左)はとても新鮮で素晴らしい。そして見る者に心の安らぎを与えてくれます。トラディショナルの枠には収まらない鉄斎独自のスタイルを感じます。遊び心も伝わってきますね。
 日本にはこんなに素晴らしい文化があるのですから日本人はもっと自国のことを知ってほしいと思います。墨にしても絵の具では出せない美しい黒、濃淡でさまざまな表現ができる素晴らしさがあります。
 9月には2回目の個展を開き地元池田や宝塚の野菜と花を絹に描いた作品を見てもらいました。鉄斎の作品の中にも絹に素朴な野菜を描いた蔬菜図があることを知りました。
 いつか私も掛け軸にできるような作品にチャレンジしたいと思っています。

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